スイスチーズの世界

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時計やチョコレートと並んでスイスを代表する特産品チーズ。九州と同じくらいの小さな国土ながら、スイスは生産量が世界のトップ10にあがるチーズ王国です。複雑な気候・風土、そして地域単位で独自の伝統や文化を守る気質が数百種類にものぼる個性的なチーズを生み出しています。アルプス地方を中心に牛たちが放牧されており、チーズを中心とする乳製品はスイス人にとって主食のひとつ。一人当たり、年間で22kg以上の乳製品を消費しています。

チーズは新鮮なスイスミルクからつくられます

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スイスで搾乳されるミルクの40%以上が高品質のスイスチーズになっています。そしてフレッシュチーズではなく、保存のきくハードチーズが主流のスイスでは、1kgのチーズをつくるのに約10リットルの新鮮な牛乳が必要です。

700種類をこえる個性的なチーズがあります

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スイスでは700種類以上の個性的なチーズが生産されています。 山の保存食としてハードタイプのチーズが多いですが、マイルドな味のものから熟成した濃い味のものまで、味わいもいろいろ。非常に幅広く多様なチーズですが、共通点が1つあります。それは、すべてスイスのミルクからつくられていること。 スイスチーズは、エクストラハードチーズ、ハードチーズ、セミハードチーズ、ソフトチーズ、クリームチーズ、プロセスチーズ、チーズスプレッドなど、さまざまなタイプのものに分類できます。

世界的に有名なチーズいろいろ

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最も有名で伝統的なスイスチーズの品種は、エメンタールAOP、グリュイエールAOP、アッペンツェラー®、ラクレットスイス®、スブリンツAOP、テット・ド・モワンAOP、ティルジッターなどです。

AOPとは、「Appellation d’OrigineProtégée(アペラシオン・ドリジン・プロテジェ)」の略で「保護原産地呼称」という意味です。 欧州連合(EU)のが定める食料品の原産地名認定・保護のための制度。その土地の伝統的な製法でつくられてきた土地の名前がついた特産品のブランドを保護するもので、この認証がある製品は、明確に定義された地域で、伝統の製法で生産、加工、熟成する必要があります。 AOPラベルの付いたチーズは、同じ地域の牛乳を使用して、伝統のレシピで製造され、決まった期間で熟成されています。つまり本物の証です。

100%ナチュラル
無添加の自然食品です

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スイスチーズは無添加の完全な自然食品です。アルプの柔らかな高山植物や牧草を食べた牛のミルクでつくるスイスチーズは高品質な健康食品で、ほとんどの場合、絞りたての生乳(非加熱処理)をそのままチーズづくりに使っています。

栄養や健康面で非常に優れている生乳を使うことができるのは、ミルクが新鮮なことと硬質チーズであることが絶対条件。スイスの場合、チーズ工房と搾乳所がすぐ近くにあり(同じ山の場合がほとんど)、硬質チーズをつくるための長い熟成期間が悪いバクテリアを死滅させるので、ヘルシーで安全。食品添加物も遺伝子組み換え物質も使用されていないため、本物の自然食品として健康な食事に対する消費者の需要が高まる中、スイスチーズは理想的な選択肢となっています。

重要な栄養がつまった健康食品

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スイスチーズは美味しいだけでなく、私たちの体が日常的に必要とする幅広い栄養素をとることができます。食事のなかで、最も豊富なカルシウムとタンパク質が含まれるもの。100ℓの牛乳からフレッシュチーズは18㎏つくれますが、硬質チーズならたったの8㎏。つまり硬質チーズにはより多くの牛乳の栄養が凝縮されているというわけです。

成人に推奨される1日のカルシウム量の約3分の1が、わずか30gのハードチーズまたは60gのソフトチーズで摂取できます。30gのハードチーズには、1日の推奨摂取量の36%のタンパク質も含まれています。 そしてチーズはカルシウムとタンパク質の優れた供給源であるだけでなく、多くのビタミン、特にビタミンB2とB12、そしてリンを含んでいます。

ラクトースフリー(乳糖を含まない)乳製品

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ラクターゼという酵素が不足していて「ラクトース=乳糖」を分解できない人が多くいます。乳糖不耐症だと、小腸での乳糖分解が上手く機能せずに、ラクトースが大腸に運びこまれガスなどになり、乳製品でおなかがゴロゴロしたり腹痛や消化不良をおこしたりするのですが、日本人は先天的に分解酵素が少なく、また年齢とともに減少していくともいわれているため乳製品の摂取に注意が必要です。

しかしスイスで主に生産されているエクストラハードチーズとハードチーズは乳糖を含みません。 ほとんどの乳糖は、チーズを製造する過程でホエー(乳清)とともに除去されます。そしてその後、チーズが熟成するなかで、残りの乳糖も完全に分解されます。なので乳糖不耐症の人でも、エクストラハードチーズとハードチーズなら、安全に食べることができます。 セミハードチーズでも、微量の乳糖しか含まれていないため問題ありません。クリームチーズとソフトチーズには、一定量の乳糖が含まれています。

硬い表皮に包まれた、柔らかなチーズ

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ほとんどすべてのチーズには皮があります。 チーズの表面となる最も外側の層を形成する外皮は、チーズを汚れやカビから保護し、乾燥を防ぎます。そして皮もチーズの風味に貢献しています。職人がチーズをつくる工程で皮を塩水で磨いて、乾かしてを繰り返しますが、表皮とチーズ自体の両方の風味に影響を与えます。

知ってますか? スイスチーズの皮は安全に食べられます。スイスではチーズ製造および熟成する際に、抗生物質効果のある添加剤(ナタマイシンなど)の使用を自主的に避けています。 そのおかげでスイスチーズの皮はチーズと一緒に食べることができるうえに、味が良いものも多くあります。

毎日しぼりたてのフレッシュなミルクで

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スイスチーズは、近くの牧場やアルプの放牧地から毎日届けられるフレッシュなしぼりたてミルク(生乳)からつくられています。 搾乳する牧場やアルプは、チーズをつくる工房や工場から20 km以内にある必要があります(例:ル・グリュイエールAOPの場合)。ミルクの特徴はそのままダイレクトにチーズの特徴に反映されます。搾乳地がチーズづくりの場所と近接しているからこそ、チーズづくりの過程はより環境にもやさしく、最大限の鮮度も保証されています。

スイスの村のチーズ工房

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伝統的な種類のチーズは、今でも大規模な工場ではなく、村の小さなチーズ工房で生産されています。大きな円形のチーズが、世代を超えて受け継がれてきたレシピに従って、スイスの小さな村の工房で手作業で丁寧につくられています。 スイスでは古い伝統を守り続けることが重要なこと。都市のスーパーマーケットでスライスされて真空パックして販売しているチーズでも、実は、小さな村のチーズ工房で昔ながらの製法でつくられているものなのです。

有名なスイスチーズの穴の秘密

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アニメなどで世界的に有名になったスイスの穴あきチーズ。空腹のネズミがかじったからではなく、チーズの穴は小さなバクテリアによってつくられています。これらの特別なバクテリアは、チーズ製造過程の初めでミルクに加えられるもの。穴あきチーズで知られるエメンタールチーズ 「エメンタールAOP」の大きな穴は、プロピオン酸発酵として知られています。 乳酸桿菌(ラクトバチルス)は乳糖を乳酸に分解し、副産物として二酸化炭素を放出します。 逃げる手段がないため、このガスはチーズに集まり、さまざまなサイズの空洞を形成します。そして長年の探究の結果、エメンタールチーズのとくに大きな穴は、材料の牛乳に含まれる微量の干し草も影響しているとわかりました。

優れたチーズを表彰「スイスチーズ・アワード」

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スイスでは2年ごとに「スイスチーズ・アワード Swiss Cheese Awards」を主催しています。国内で最高のチーズを表彰するために秋におこなわれる非常に権威のあるプロのコンテスト(品評会)です。専門家による審査会が、厳格な規則に従って1000を超えるチーズを評価しながら、32の部門ごとの最優秀者とスイス全体のチャンピオンを選んでいます。